高度経済成長時代の昭和30年鋼板から、都会を流れている川の汚染が始まり、川は澱み悪臭を放つようになるのだが、京都を北から南に流れる鴨川は、都市部を流れる川でありながら、清くすんでいる。
何故鴨川は澱み濁ることなく、清い流れを保っているのであろうか。
鴨川流域に向上が少なかったからか、京都の人は環境に対する意識が高いのか、どちらも正しいのだろうが、しかし一番の要因は京都盆地の地形にある。
京都盆地は北が高く南に傾いている地形で、北と南に高低差がある。
上賀茂あたりの標高は100mで、それが京都御所の辺りでは55mとなり、さらに南の京都駅あたりでは30m、さらに南の八幡の桂川と鴨川が合流する辺りでは17mとなり、上賀茂と比べると83mほども低くなっている。
一見、鴨川の流れは緩やかに見えるのだが、以外に流れの速い川なのである。
それを表わしているのが、
白河法皇が「賀茂河の水、双六の賽、山法師、是ぞわが心にかなわぬもの」と言ったように、昔から鴨川は暴れ川だったのである。
鴨川の氾濫は度々起こり、豊臣秀吉が築いた御土居も鴨川の氾濫を防ぐという目的もあったようである。
今でこそ治水工事がなされ、氾濫することはなくなったが、一見穏やかに見える鴨川だが、その流れは以外に速く、それが鴨川を澱ますことなく清流である理由なのである。
余談だが、京都盆地を流れる川は、この高低差のためにいずれの川も北から南へと流れているのだが、唯一、南から北へと流れている川がある。
それが琵琶湖疎水で、南の琵琶湖から水を引くために、地形に逆らって人工的に南を高くして琵琶湖の水を京都市内に流し込んだのである。
これが京都で唯一、南から北へと流れる川なのである。
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