瀧尾神社の拝殿の天井には、江戸時代後期の京彫物師として名高かった九山家の九山新太郎が手掛けたという、全長8mにも及ぶ木彫りの竜がある。



 クリックで大きくなります
彫物師の九山家は、禁門の変で焼失した大船鉾の再現の際に、船首の龍頭は瀧尾神社の天井の竜を参考にしたという。

巨大な竜が体をうならせるように舞う姿は、あまりの出来栄えに「夜な夜な竜が抜け出て、川へ水を飲みに行く」と噂がたち、逃げ出さないように金網が設けられたこともあったという。

天保年間の改築に際しては、大丸(現大丸松坂屋百貨店)の創業家である下村家の寄進になるもので、現在の金額で数億円が費やされたという。



 クリックで大きくなります
江戸中期ころ、大丸創業者の下村彦右衛門が伏見から京へ行商に向かう途中の行き帰りに、商売繁盛を祈願したという。

呉服商として大成すると、その恩を忘れずに信仰を深め、寄進をしたという。

彦右衛門が亡くなった後も、歴代当主はその恩を忘れなかったという。

境内には大丸の繁栄を願う「大丸繁盛稲荷」もあり、今もって大丸との深い関わりが偲ばれるのである。