東山に安井金毘羅宮という神社がある。

38代天智天皇の治世に、藤原鎌足が観音堂を建立し一門の栄華を祈願したことに始まる。

藤の花が植えられたことから「藤寺」と呼ばれた。



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年は下がり、75代の崇徳天皇はこの神社の藤を愛で、久安2年(1145)に寵妃の阿波内侍(あわのないし)をここに住まわせる。

しかし崇徳の時代は長くは続かず、保元の乱(1156年)で敗れ讃岐に流される時に、自らの尊影を阿波内侍に渡ししてゆくのである。

崇徳院が失意のうちにそこで崩御すると、阿波内侍は髪をおろし尼となって、観音堂に尊影を祀り、その菩提を弔った。

時は移り、治承元年(1177)に大円法師がお堂を訪ねると、読経の中に崇徳院が現れたという。

これを聞いた弟の後白河天皇は、崇徳院を慰めるために「光明院観勝寺」を建立するのである。

その後、応仁の乱で焼失するが、江戸元禄年間に、崇徳天皇とともに、

讃岐の金刀比羅さんの大物主神と源頼政公を祀ったことから「安井の金比羅さん」として信仰を集め現在に至っている。