17日の山鉾巡行が終った夜に、三基の神輿が八坂神社の神を奉じて、四条通寺町の御旅所へ渡る、神幸祭がおこなわれる。

八坂神社の石段下で、中御座、東御座、西御座の三基の神輿が西楼門を背に、ひとうねりした後、鴨川を越えて夜遅くに四条寺町東入ルの御旅所に着き安置される。



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御旅所に三基の神輿が安置された17日の夜から、祇園の芸舞妓が、願掛けに7日7晩を誰とも口をきかずにお参りすると願いが叶うという「無言参りがある。

「かなわぬ恋の願掛けに、7日7夜を無言でわたる四条の大橋」

と祇園の芸舞妓が願い事を秘めて無言で参る、八坂神社の御旅所である。

と書いたのだが、

実は7日7夜ではなく、「神幸祭」が行われた17日から、御旅所から八坂神社へと御霊が戻る「還幸祭」までの7日間の間の一日

祇園から四条大橋を渡り、四条寺町の御旅所に7回通うというもので、

お百度参り(神社に願い事をし、それが成就するように、お百度石と本殿の間を百回歩く)のように、

祇園と四条寺町の御旅所の間を一夜のうちに、誰とも言葉を交わさずにお参りをするというのが「無言参り」なのである。



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祇園の芸妓が、お座敷を終えて浴衣に着替え、深夜に四條大橋を渡り、どんな願いを込めて「無言参り」をするのか知りたいところだが、

祇園と四条寺町の間は、深夜といえども人通りはあり、行違う芸舞妓はそれを察し、何も言わず通り過ぎてくれるのだが、

馴染みの客に会うと、粋な客は、知らぬ顔の半兵衛で素通りしてくれるのだが、

酔客に絡まれると、それは客商売つい言葉を交わしてしまうのである。

こうなるとまた一からで、とうとう夜が明けてしまうこともある。

「かなわぬ恋の願掛けに、7日の一夜を無言でわたる四条の大橋」