六角通から新町通を南に蛸薬師通へと向かう途中に、旧吉田家の住宅であった、京都生活工藝館「無名舎」がある。

六角町のこの辺りは、後に三井財閥となる越後屋三井家の三井八郎兵衛(高利)が、貞享3年(1686)に、

この地で両替店を開いた所でもあり、祇園祭では北観音山を出し、宵山では屏風祭に参加する建物が多くある。

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明治42年(1909)に建てられた、白生地問屋を商った吉田家、表屋造りの京商家の典型的な造りとなっている。

現在もこの家で生活をおくっており、京の町家を守り続けている。電話又は往復葉書で予約をすれば見学は可能のようである。

ここで京町家について少しふれてみよう。

京町家には3つの基本形があり、

「通り庭」形式;京町家の基本形で、通り庭に沿って表から店・台所・座敷の3室を1列に並べ、土間および居室を1つの屋根で覆うものである。

「表屋通り」形式;通り庭形式の規模が大きくなったもので、間口が2列に広がり、奥行が拡大して4室が並び店と奥が分かれたため、間に玄関棟が出来、玄関庭を持つ。

建物が大きくなった関係上採光や通気などのために、途中に坪庭を設けることが多い。

「大塀造り」形式:前の二つは主屋が表通りに面しているのに対し、建物の周囲に高い塀を巡らしているもので、店がなく表座敷となり、その奥か側面に玄関を設け、後方に居住棟を建てる。

本来、京町家は職住兼用なのだが、この形式は居住専用なので塀に囲われる。

建物の前には京町家の特徴の一つである「ばったり床几(しょうぎ)」(店の正面に設けられた縁台で、折りたたみ式のベンチ。ばったん床几ともいう。)がみえる。