京の寺の紹介で何時もこの景色が使われる程よく見慣れた相国寺の庫裏「香積院」である。

切妻づくりの建物で、白い壁と破風との組み合わせが何ともいえない調和を保ち、どっしりとした風格を醸しだしている建物である。

 クリックで大きくなります
相国寺は夢窓国師を開山として、足利義満が創建したとされているのだが、開山の夢窓国師は、相国寺が建てられる30年前に示寂をしているのである。

実際は、義満の禅の師である、春屋妙葩が建立の実務を担ったのだが、妙葩は始祖となるのを辞退し、

彼の師である夢窓国師を開山とするならば、次の住職を担うと言い、そのことから夢窓国師を開山とし、

2世住職が春屋妙葩となったのだが、その妙葩も相国寺の堂塔伽藍の完成を待つことなく示寂をしている。

 クリックで大きくなります
相国寺は臨済宗相国寺派大本山の寺院で、山号を満年山と号し、釈迦如来を本尊とする禅寺である。

足利義満の発願から10年後の、明徳3年(1392)に落成をし、京都五山の一つとして、

天皇建立の南禅寺の次、五山の第二位として列せられ、雪舟や一休を始めとし、多くの名僧がここから育ってゆくのである。

五山一位の南禅寺が多くの観光客が訪れるのに対し、御所の北すぐにあるのだが相国寺の境内には人の姿も疎らで、観光に背を向けて境内は何時もひっそりとしている。

しかしその静寂のなかに、禅宗の心を残し。室町時代の息吹を今に伝えているのである。