愛染工房と同じ中筋通にあるのだが、住居表示は、今出川智恵光院下る一筋目東入るとなっている「岡慶」がある。

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大正9年(1919)に、主家である「雁半商店」より暖簾わけを許され、岡本慶三商店を設立する。

その岡と慶をとって「岡慶」と名付け、以来90余年に亘り西陣織の帯を扱う店として商いをしている。

岡慶さんの帯も金箔を使い、「金襴緞子の帯しめながら・・・」と歌われる花嫁御寮のように、艶やかな帯を作り続けているのである。

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因みに、

金襴緞子の帯しめながら、花嫁御寮は何故泣くのだろ

文金島田に髪結いながら、花嫁御寮は何故泣くのだろ


あねさんごっこの花嫁人形は、赤い鹿の子の振袖着てる

泣けば鹿の子の袂が切れる(濡れる)、涙で鹿の子の赤い紅にじむ

泣くに泣かれぬ花嫁人形は、赤い鹿の子の千代紙衣装

と歌われる「花嫁御寮」は、蕗谷虹児(ふきや こうじ:1898~1979)によって詩が書かれ、曲は、杉山長谷夫(すぎやま はせお:1889~1952)により作られている。

29才の若さで亡くなった、美しかった母を思って花嫁人形に思いを寄せて綴ったもので、今その歌を聴いても、せつなくやるせない思いがつのるのである。

帯という衣裳は一見華やかな趣をもつのだが、反面その艶やかさゆえに、切なさが感じられるのであろう。