最福寺の跡「谷ケ堂」から、車の通れない小さい道を西南に歩くと、急に目の前が開け左に茶店があり、ちょうど昼どきということもあり、綺麗なお姉さんが店前で案内をしていた。



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その前に長い階段があり、この階段を登ると鈴虫寺として有名な、華厳寺がある。この地もまた最福寺の旧地であった所である。



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鈴虫寺の正式な名は、妙徳山華厳寺と云い、江戸時代中期の享保8年(1723)に、鳳潭(ほうたん)上人によって創建された華厳宗の寺院であったが、慶応4年(1868)に臨済宗に改められている。

寺は一年中、鈴虫が鳴くところから「鈴虫寺」とも呼ばれている。

鈴の音のように「りーん、りーん」と鳴く鈴虫は、秋の夜長しか鳴かないのだと思っていたのだが、この寺では28年の歳月をかけ、日中一年中鳴く鈴虫の環境を創り出したのだという。

最近では秋の夜長になっても、なかなか聞くことの出来ない鈴虫の鳴き声を聞きに、ここに訪れる観光客は多いのである。



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華厳寺の開山である鳳潭上人は、承応3年、越中国(現、富山県小矢部市埴生町)に生まれ、比叡山延暦寺にて得度し、新華厳宗の開祖となる。

また難解な華厳宗を易しく説き、教典140余冊を上梓した学僧で「華厳の鳳潭」とも呼ばれている。



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また山門の横には、どんな願い事でも一つだけ叶えてくれるという、草鞋を履いた、お地蔵さんの「幸福地蔵」が建っている。

寺内で幸福地蔵のお守りを受け、帰り際に一つだけお願い事をすれば、その人の家まで出向いてくれ、願い事を叶えてくれるという。

また願い事が叶った人は、お地蔵さんにお礼を言い、再び新しいお守りを授かり、新しい願い事をすることが出来て、何度も何度もお願いを叶えてくれるという、有難いお地蔵さまなのである。