清水寺には仁王門とは別に、その右手の急な階段の上にも門がある。


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西門(さいもん)といい、仁王門の後方に位置する処にあり、現在はこの門からの出入りは出来ない。

その西門の後ろには、日本でも有数の三重塔が建っている。


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この三重塔は、清水寺本尊の観世音菩薩の御霊験により、嵯峨天皇の皇子が誕生し、承和14年(847)葛井親王が勅命を受けて創建されたと伝えられる。

現在の塔は、江戸初期の寛永9年(1632)の再建で、三間四方、高さ29.7mの日本最大級の三重塔である。

昭和62年(1987)の解体修理で、全重を総丹塗りに戻し各重の丸桁、台輪、長押などの各種極彩色文様をすべて寛永の昔に復元された。

一重でみると、軒下の丸桁の両端は「摩竭魚」中央は金剛盤に「宝珠」、中段の台輪の両端は「出八双卍崩円竜」中帯は「向い蝶」、下方の長押の両端は「入八双若芽唐草」中帯は「四弁花羯磨繁」の文様になっている。

                         出展:【重要文化財 三重塔の駒札】より


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西門も三重塔と同じく江戸中期の寛永8年(1631)の再建になる。

三間一戸、正面8.7m、側面3.9mの八脚門で、西に面して急な石段の上にたっている。

単層切妻造り、桧皮葺で正面に向拝をつけ、七段の木階を設け床と共に高欄をめぐらし、背面には軒唐破風を架ける。

拝殿風の華美なこの門からの京都市街、西山の眺望は素晴らしく、絶好の洛中展望台とされ、かつ西山に沈む夕日の見事さに、西方極楽浄土を観想する日想観拝所となったとも考えられる。

                         出展:【重要文化財 西門の駒札】より

西門は門というよりも、その姿からは拝殿に近く、古くは、ここから西山に沈む夕日を眺めながら、にごり酒をかたむけていたのではないだろうか。