『織江の唄』(昭和56年(1981)発売)
作詞:五木 寛之、作曲:山崎 ハコ、歌:山崎 ハコ
「織江の唄」は、五木寛之の小説「青春の門」の主人公・伊吹信介の幼馴染である牧織江の心情を歌った歌で、東映で撮られた映画「青春の門」の音楽を山崎ハコが担当し「織江の唄」を歌ったのだが、映画の中で歌われることはなく、主題歌というよりイメージソングとして扱われている。
「青春の門」は、五木寛之が昭和44年(1969)から書き始め、昭和45年 「第1部 筑豊篇」、昭和46・47年「第2部 自立篇」、昭和48・49年 「第3部 放浪篇」、昭和51・52年「第4部 堕落篇」、昭和54年「第5部 望郷篇」、昭和55年「第6部 再起篇」、平成5年(1993)「第7部 挑戦篇」、平成28年(2016)「第8部 風雲篇」、令和元年(2019)「第9部 漂流篇」と壮大な構想で書かれた物語である。
あらすじは、
幼少期から少年時代を描いた「第1部 筑豊編」は、大正から昭和にかけての福岡県筑豊を舞台に、主人公の伊吹信介は父・重蔵が炭鉱事故で亡くなり、継母のタエが女で一つで信介を育ててゆく。
信介は幼馴染の牧織江への初恋や大人達の生き様や炭鉱の荒々しい風土にもまれ、成長しw早稲田大学進学を目指し上京を決意し、香春岳(かわらだけ)を背に新たな世界へと踏み出そうとする。
「第2部 自立編」は、信介が筑豊を離れ、昭和30年代の東京で早稲田大学の学生として生活しながら、大学のボクシング部や演劇部、新宿歌舞伎町の娼婦カオルや人切り英治といった怪しい人間模様に翻弄されながら、本当の「自立」を模索し新たな旅立ちをする。
「青春の門」の映画は東宝と東映で撮られているが、いずれも「筑豊編」と「自立編」で以降の作品は映画化されていない。
「第3部 放浪編」は、伊吹伸介が早稲田大学を休学し、演劇部の仲間と冬の箱館に渡り、札幌で「すすきの」のバーで働いていた牧織江と再開をするなど、理想と現実の狭間で放浪する姿が描かれる。
「第4部 堕落編」は、北海道から東京に戻った信介が歌手を目指す織江と別れ、政治活動に熱狂する学生運動の波にも乗れず、虚無的で倦怠の日々を送るなかで苦悩する信介の姿を描いている。
「第5部 望郷編」は、シベリアの強制収容所から復員した信介が、敗北と挫折感のなかで故郷の筑豊に帰るが、恩人の塙竜五郎はすでに亡く、変わった故郷に居場所はないと、再開した織江や継母タエとも別れ、さらなる自立を求めて新しい世界へと踏み出すのである。
「第6部 再起編」は、居心地のいい筑豊を離れ再び東京へ戻り、再開した織江とともに芸能・歌の世界への挑戦を始める。
「人生の目的を見つける過程が青春」だと、新しい世界に踏み込んでゆく。
「第7部 挑戦篇」は、北海道江差を舞台に、オーストラリア人ジョンや混血の少女・立原襟子との出会いの中で、特攻船(北方領土近海で密魚に用いられた漁船)やソ連の影が見え隠れする情勢で、信介自身の生き方を模索する。
「第8部 風雲篇」は、上京してから7年、信介が未知の世界を求め、西沢やジョン、襟子らと供にシベリアへ密航する。
カオルという女性の存在など波乱に満ちた展開ががあり、信介の成長と風雲を切り開く過程が描かれる。
「第9部 漂流篇」は、シベリア横断中に負傷した信介は横断を諦め、古謝の自宅で療養することになる。
療養生活で、古謝やロシア人女性タチアナとの交流の中で、自身の生き方を見つめ直す。
一方、織江はディレクター高円寺竜三と出会い歌手としての自分を模索するが、レコード業界の権力闘争に巻き込まれる。
信介の思索と織江の歌手としての漂流が描かれる。
ちなみに「新聞からご当地ソングが聴こえてくる」の福岡のご当地そんぐは、
『母に捧げるバラード』(昭和48年(1973)発売)
作詞:武田 鉄矢、作曲:海援隊、歌:海援隊 である。



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