岡山を9時5分に出た「やくも5号」は、出雲市駅に12時7分に到着する。
出雲市駅からは、12時30分の一畑(いちばた)バスで、出雲大社へと向かう。
待ち時間が20分あり、出雲市からも一畑電鉄の電車が出ているようで、駅の右側の少し離れた所にあったので、駅の案内所で時間を聞くと、12時25分だというので、バスに乗ることとした。
実はバスにこだわったのは、出雲大社の手前にある、旧大社駅が見たかったからにほかならない。
国鉄大社線は山陰線の支線として、明治45年(1912)に、出雲市駅から簸川郡(ひかわぐん)大社町の大社駅を結ぶ、7.5Kmの鉄道路線として開業する。
当初の大社駅は、今の半分ほどの大きさであったが、大正2年(1913)に、出雲大社から駅までを直結する神門通が出来、また国鉄山陰線が大正12年(1913)に、京都から益田までが全通し、出雲大社への参拝者も増加し大社の駅舎も手狭になり、出雲大社の表玄関に相応しいものに建て替える事になり、大正13年(1924)2月に、駅舎が完成するのである。
出雲大社の表玄関駅として、お召列車の送迎・急行列車(大社~大阪・大社~名古屋)、急行いずも号(大社~東京)、急行だいせん号(大社~京都)などの直通運転をはじめ、昭和47年頃の最盛期には、年間の団体臨時列車280本もの多きを数え、1日4,000人もの乗客・発着貨物180トンにものぼり、鉄道輸送の粋を極めたのである。
しかしながら近年の社会構造の変化により、利用者が減少し、平成2年(1990)に大社線が廃止されると共に、大社駅もその歴史に幕を降ろしたのである。
今は、一畑バスが出雲市駅から出雲大社までを20分ほどで運行している。
12時30分の日御崎行きのバスに乗り、旧大社駅前で降りる。
バスを降りて1分で旧大社駅に着く。
大社駅は、駅舎は木造平屋、入母屋の瓦葺で、柱には台湾産などの桧が使われていて、壁は漆喰仕上げだが、腰から下は縦板張りであり、中央待合室は屋根を高くし高窓を設け、左右対象の建物となっている。
和風の外観に対し、構造は西洋風で、屋根裏の骨組みには、部材を三角形に組み合わせたトラス構造を採用している。
駅長室には貴賓室を備え、待合室を二等と三等に区別するなど、また天井の高さ・シャンデリヤ等のゆかしさに往時を偲ぶことが出来るが、一歩戸外の風に立つとき、波打つ大屋根・反りの整飾美に度肝を抜かれるのである。
かって出雲大社大祭礼の勅使参向の玄関駅として、その格式と風格をとどめ、全国に数多い駅舎の中でも比類稀なる建造美を秘めている。
この・旧駅舎にたたずむとき、歴史を閉じた今も、なぜか、動的な感にうたれるのである。
駅舎は、中央に高い天井の三等待合室があり、照明器具や料金表、時刻表には趣きがあり、一・二等待合室の天井に抜けて部分があるのは、ストーブの煙突の痕跡である。
左手に事務室、その全面に貴賓室としても使用された応接室が設けられている。
大待合室中央に出札室があり、昔の切符売機、電話機なども置いていて、その両側に木製の改札口があり、駅舎の南側には後に付設された石製の団体改札口がある。
駅舎には所々に造作の遊び心が見え、屋根には亀の瓦がいくつか載っていて、線路へ降りる鉄板にはウサギを見ることができる。
参照 旧大社駅の概要と旧大社駅の説明板より




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