旧中国領事館から西に1分ほどで・・・
北野外国人倶楽部
北野外国人倶楽部(旧フリューガ邸)は、明治の終わりに建てられた、切妻屋根の木造2階建で、2階の外壁は、ハーフティンバー様式の外観となっている。
(ハーフティンバー様式とは、西洋風の木組み建築で、建物の木製フレームを露出させたもの。)
入口にライオンの石像があることから「ライオンハウス3号館」とも呼ばれていた。
邸宅には、家人用と使用人用との2つの階段があり、17世紀のブルボン王朝の貴族の館にあった、天井までとどく「木製暖炉」や、銅製の調理器具などが並ぶ薪炭時代(しんたんじだい:薪(まき)と炭(すみ)を主な燃料として使用した時代)の「古いキッチン」
1890年代、フランスのノルマンディ地方の貴族が使用していた「馬車」やルネサンス時代の「グレゴリオ聖歌の楽譜」などが展示されている。
北野外国人倶楽部から来た道を元に戻り、一つ目の角を西に入ると(徒歩2分)・・・
山手八番館
大正時代に、サンセン氏の自邸として建設された建物で、チューダー様式の棟屋が3つ連結された珍しい外観となっている・
(チューダー様式とは、ハーフティンバー技法の外観と急勾配の切妻屋根、入口や窓はチューダー・アーチと呼ばれる上部がわずかに尖頭型で幅が広めとなっている。)
館内には、彫刻の三大巨匠であるロダン、ブールデル、ベルナールの彫刻をはじめとした西洋彫刻、2階には、2世紀頃のガンダーラの仏陀坐像やレリーフ、黄金に煌くタイの仏像など東洋の仏像や美術品の数々が展示されている。
中でも、ローマ神話の五穀豊穣の神・サターンの彫刻が施された「サートゥルヌスの椅子(サターンの椅子)」は、「願い事が叶う椅子」と伝えられている。
この椅子は、19世紀頃に制作され、元はイタリアの教会にあったものだという。
山手八番館の西にあるのが・・・
うろこの家
明治38年(1905)、神戸居留地に外国人向けの借家として建築され、大正になってからこの地に移された異人館で、昭和28年(1953)から昭和43年(1968)まで、ドイツ人のハリヤー氏が住んでいたことから「ハリヤー邸」とも呼ばれるが、建物の
木造2階建、切妻屋根、黒桟瓦葺きで、外壁が天然石のスレートで覆われており、それが魚の鱗(うろこ)のように見えることから「うろこの家」と呼ばれることの方が多い。
(スレートとは、粘板岩(ねんばんがん)という岩石を薄く剥いで作られた石いたで、日本では屋根材(瓦など)などに使用されている。「うろこの家」に使用されているスレートの枚数は約4,000枚と言われる。)
中央の円筒形の塔部は、螺旋階段で2階から3階の展望室へと続いており、展望室からは神戸港の船の出入りが見え、遠い異国から故郷を思い偲んでいたのだろうか。
館内には、アンティークの家具・調度品とともに、ドイツのマイセンをはじめとする陶磁器、エミール・ガレやティファニーなどのガラス工芸品等が展示されている。
また「うろこの家」は、最初に公開された異人館で、国の登録有形文化財や兵庫県住宅百選にも指定されている。



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