東京のご当地そんぐを取り上げると切りがない。
ここらで自分が推す東京ソングを取り上げて、東京をあとにすることとしたい。

『ああ上野駅』(昭和39年(1964)発売)
作詞:関口 義明、作曲:荒井 英一、歌:井沢 八郎
01上野駅mid 02歌碑mid
「ああ上野駅」は、東北からの集団就職のことを歌った歌で、関口義明が農協(JA)の雑誌「家の光」の懸賞に応募し、1位を取ったものをレコード化したものである。
集団就職とは、高度経済成長期(昭和30~40年後半)に、主として東北の農家の子供たちが、主として東京の工場や商店へ、学校あげての就職活動が行われ、中学校を卒業すると集団で東京へと就職したのである。
東北から東京に就職する子供たちを運ぶ臨時列車が集団就職列車で、その終着駅が「上野」であった。
「就職列車に揺られて着いた/遠いあの夜を思い出す・・・」と、当時は新幹線もなく夜行列車に揺られながら、不安と希望を抱き上野駅に降り立った。
上野駅では店主が迎えられ、新しい人生がここから始まったのである。
集団就職列車は、昭和29年(1954)から始まり、昭和50年(1975)まで続いた。
この唄を聞くと、自分も同じように南国土佐を後にして、大阪へ出稼ぎに来たのだという思いにかられる。
スナックなどで、酔っ払うと「出稼ぎの唄」をとリクエストすると、ママも承知したもので、この「ああ上野駅」がかかるのである。

ちなみに「新聞からご当地ソングが聴こえてくる」の東京のご当地そんぐは、
『東京ブギウギ』(昭和22年(1947)発売)
作詞:鈴木 勝、作曲:服部 良一、歌:笠置 シズ子 である。