JR奈良線で京都駅を出ると次は「東福寺」で、「稲荷」の駅はその次である。
偶然というか、この二つの駅はいずれも京阪電車と駅を接しているのである。
JRの「稲荷」駅と京阪電車の「伏見稲荷」駅は伏見稲荷大社の最寄り駅で、JRの「稲荷」駅で降りると、本町通りに面した一の鳥居の朱色が目に入る。
京阪電車の「伏見稲荷」駅は、ここまで歩いて5分の距離である。
奥に見える楼門までは歩いて2分、京阪「伏見稲荷」の駅からは、土産物や食事処が並ぶ北の参道を通り楼門までは6分である。
初詣の利用者は、大阪市内からは京阪電車だが、京都の人も結構、京阪電車を利用する人は多い。
JRを利用するのは、京都駅を経由するか、奈良からの人が多く利用する。
「稲荷」駅は今は奈良線の駅なのだが、当初は東海道本線の駅であった。
東海道本線は、東京から神戸までを結ぶ日本の幹線鉄道で、明治5年(1872)に、品川と横浜間が開業以来線路を拡張し、明治22年(1889)に新橋と神戸を結ぶ全線が開通をする。
この時の大津から京都までは逢坂山と東山を越える必要があり、またこの当時の土木技術では、軟弱な地盤の東山にトンネルなど掘ることは出来ず、逢坂山を迂回したルートを取らざるを得なかったのである。
そのルートは、~馬場(膳所)~<逢坂山トンネル:665m>~大谷~山科~稲荷~京都というものであった。
その後、土木工事が発達したこともあって、大正10年(1921)に逢坂山と東山にトンネルが完成し、~膳所(馬場)~大津~<新逢坂山トンネル:2,325m>~山科~<東山トンネル:1,865m>~京都という、現在のルートに変更になり、それにともなって、馬場から大谷、山科の駅が廃止され、稲荷から京都の路線は奈良線に編入されたのである。
旧東海道線は稲荷の駅から奈良線を南に1Kmほど行った所から左に分かれ、勧修寺辺りを通り、大津へと向ったのである。
旧東海道本線は今は、その姿をとどめることはなく、東海道線が逢坂山を迂回して走っていたことは、知る由もないのだが、稲荷の駅にレンガ造りの小さな建物が残っている。
この建物が、旧東海道線の建物として残った只一つのもので、同時に国鉄最古の建物といわれる「ランプ小屋」である。
この当時の照明は、駅舎や汽車の前照灯、客車の尾灯、車内灯などは石油ランプであり、これらの保管や整備、油の保管のために建てられたものである。
レンガ造りの建物の中には、汽車が照明用に使ったランプや当時の時刻表、運賃表、汽車の尾灯などが展示されている。
JR稲荷駅ランプ小屋(京都市伏見区深草稲荷御前町(稲荷駅構内))
京都駅から
▼JR奈良線で、『稲荷』下車(所要5分)
「稲荷」からすぐ
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