曼殊院を訪ねるには、市バスの5系統で「一乗寺清水町」で降り徒歩20分か、または、叡山電鉄「修学院」の駅から徒歩25分である。
いずれも、鷺森神社の参道から鷺森神社を経て東に、比叡山の麓に向かい登り調子になる道を、市中のざわめきを離れ、鳥のさえずりを聞きながら歩くと、曼殊院門跡である。

01曼殊院mid
曼殊院は皇室と関係深い門跡寺院で、創建は天暦年間(947~956)の頃だといわれ、現在の地に移ったのは、桂離宮を造営した智仁(としひと)親王の次男で後水尾天皇の猶子(ゆうし:俗に云う養子のこと)で、29世門主となった良尚(りょうしょう)親王が明暦2年(1655)に、京都御所の北にあった曼殊院を一乗寺のこの地に移し、生涯ここに住んで堂塔伽藍を整備し、茶道・華道・書道・画道・香道など江戸期の公家文化を開花させたのである。
庭園は名勝に指定され、重要文化財の大書院や小書院には、狩野永徳や探幽、岸駒らの襖絵があり、小書院には江戸三筆のひとり松花堂昭乗の筆になる扁額が掛かっている。

02勅使門mid
西に面する「勅使門」である。
この景色は、2006年にJR東海のTVCM「そうだ京都へ行こう」で流れた風景である。
曼殊院の由緒は、駒札によると、
『最澄が比叡山に建立した一坊を起こりとする天台宗の寺院で、青蓮院、三千院、妙法院、毘沙門堂と並ぶ天台宗五箇室門跡の一つに数えられる。
門跡とは皇族や摂関家の子弟が代々門主となる寺院のことで、当寺では明応4年(1495)に、伏見宮貞常親王の子、慈運大僧正が入手したことに始まる。
初代門主の是算国師(ぜさんこくし)が菅原家の出身であったことから、菅原道真を祭神とする北野天満宮との関係が深く、平安時代以降、明治維新に至るまで、曼殊院門主は北野天満宮の別当職を歴任した。
数度の移転を経た跡、天台座主(天台宗再興の地位)を務めた良尚(りょうしょう)法親王により、江戸初期の明暦2年(1656)に現在地に移された。
良尚法親王は桂離宮を造った八条宮智仁(としひと)親王の子で、父宮に似て、茶道、華道、書道、造園等に優れ、大書院や小書院(ともに重要文化財)の棚や欄間、金具など、建築物や庭園の随所にその美意識が反映されている。
大書院の仏間には本尊の阿弥陀如来立像が安置され、小書院の北側には、八つの窓を持つ明るい茶室、八窓軒(はっそうけん:重要文化財)がある。
優雅な枯山水庭園は国の名勝に指定されており、寺宝として、「黄不動」の名で知られる不動明王像(国宝)を蔵するが、現在は京都国立博物館に寄託されている。』
                         出典:【曼殊院門跡の駒札】より

03庭園(1)mid
曼殊院には国宝が二つあり、その一つが黄不動と呼ばれる、一般には三井寺(みいでら)で知られる園城寺(おんじょうじ)の「絹本著色不動明王像」(平安時代前期の作)を模写した画像の一つである。
(絹本著色(けんぽんちゃくしょく)とは、絹に描かれたもので色が付けてあるの意で、絹に絵具で色を付け描かれたものをいう。)
三井寺の「黄不動」、高野山明王院の「赤不動」、青蓮院の「青不動」を日本三不動と呼び、黄不動は、絵の大きさが178cm×72cmで、不動明王像は両眼を開き、上半身裸で、筋骨隆々とした姿である。
背景を描ず、像は画面一杯に描かれ、像の足下には台座がなく虚空に立っており、頭は弁髪を造らないなど、通常の不動明王像とは違う姿となっている。
三井寺の「絹本著色不動明王像」は多くの模写画が描かれたといわれ、曼殊院の「絹本著色不動明王像」は最も古い模写画である。
概ね忠実に模写されているが、曼殊院の不動明王は台座の上に立っているのが異なるが、模写技術の優れていることや芸術的にも高い評価を受けている。
もう一つは、色変わりの染紙に和様書体で書かれた「古今和歌集の写本」で、11世紀頃に書かれたものだという。

04庭園(2)mid
通用門から拝観料800円にて中に入る。
庫裏から大玄関を通り大書院、小堀遠州風の庭園をすぎ、小書院などを通るのだが、そのいずれも名のある画家による襖絵が描かれていて、それなどを眺めながら、さらに奥へと進む。
そこで、な、なんと、そこには二つの掛け軸に描かれた幽霊の絵があった。
夏の間だけの公開と聞いており、今は見ることが出来ないと思っていて、心の用意もせずにいきあったってしまい、怖がりの自分などはまともに凝視することも出来ず、また、写真を撮ると撮った人に災いが及ぶので写真は撮らないでと、写真を撮らないでという文言よりも効果のある文章があったが、それよりも自分なんかは、その絵を見ただけで背筋が寒くなり写真どころではなく、どんな絵だったのかもよく判らないままに、一目散にその場所を逃げ出したのであった。
だからぼやっとしたことしか思い出せないのだが、掛け軸に女の人が消え入りそうな姿で書かれていたようだった気がするのだが、よく分からないでいる。

曼殊院(京都市左京区一乗寺竹ノ内町42)
京都駅から
▼「A1」乗り場から5系統で、『一乗寺清水町』下車(所要51分)
「一乗寺清水町」から、徒歩20分