5系統のバスを「神功道」で降り、南に門前の「クスノキ」を目標に3分ほど歩くと、比叡山延暦寺の三門跡の一つである「青蓮院」がある。
青蓮院は、左京区大原にある「三千院」と、東山七条の「妙法院」と共に、天台宗比叡山延暦寺の三門跡の一つとして知られ、最澄(伝教大師)が比叡山に、僧侶の住居として建てた一つ「青蓮坊」が起こりで、平安時代末期の天養元年(1144)12代天台座主・行玄大僧正(藤原師実の子)のときに三条白川(現在地のやや北西)に移り、鳥羽法皇の第七皇子、覚快法親王が行玄の弟子として入寺して以来、皇族や摂関家の子弟が門主(住職)を務める「門跡寺院」となった。
鎌倉時代初期に慈円(藤原兼実の弟で愚管抄の著者)が門主を務めた頃が最も寺運が栄えた。
寺域は広く、隣接する知恩院から将軍塚にいたる一帯を占めていたが、応仁の乱の兵火に焼かれ、江戸時代には知恩院に全域を取り上げられたこともあったが、いまなお九千余坪(3万㎡)の寺域をもっている。
庭園は相阿弥の作と伝えられ、池泉式回遊庭園で昔日の面影を残している。
また東の黒書院の庭は「霧島の庭」といい小堀遠州の作庭になるもので、ともに名庭として名高い。
寺宝には書画が多く、とくに「青不動」と呼ばれる国宝の「不動明王二童子画像」があり、大津の園城寺の「黄不動」と、高野山明王院の「赤不動」と共に、三不動と呼ばれている。
寝殿には、江戸初期の画家・住吉具慶筆の浜松の間の襖「壁張付絵十七面」があり、金地に緑青で松の群像が描かれた金碧画がある。
四脚門の前には「史跡 青蓮院旧仮御所」の石碑が建ち、ここが仮御所だったということが分かる。
江戸時代の天明8年(1788)に、鴨川東側の宮川町団栗(どんぐり)辻子から、放火によって出火した火がまたたくまに京都の市中を炎に包んでしまい、京都御所や二条城、所司代屋敷、京都奉行所と、ありとあらゆるものを焼き尽くした、京都最大の火災によって、御所が炎上したことにより、後桜町上皇と光格天皇は青蓮院を仮御所として、ここに移っている。
この四脚紋は、明正天皇の中和門院の旧殿の門を移築したものである。
花園天皇綾への参道からは、青蓮院の境内が見え、青蓮院が粟田御所として、後桜町上皇と光格天皇の仮御所として使われていた折に、好文亭と呼ばれ学問所として使われていた茶室が見えるのだが、この建物は平成5年(1993)に放火で焼失してしまい、2年後に復元された平成の建物である。
「四脚門」から少し先には、「長屋門」があり、青蓮院といえばこの景色というほどに、よく知られた門である。
この長屋門もまた、四脚門と同じく、明正天皇の中和門院の旧殿の門を移築したものである。
ここでは長屋門もさることながら、左右に立つクスノキがこの門と絡み、ひときわ時の流れを感じさせてくれる。
駒札によれば、
『このクスノキは、青蓮院の築地の上に四本、さらに境内の庭園内に一本が生育している。
樹高は最大のもので26.1メートルに達する。いずれも幹から大枝を伸ばし、クスノキに特徴的な半球形のこんもりとしたみごとな樹冠を形成し、樹勢も良好である。
12世紀末に親鸞上人に植えられたとも伝えられているが、クスノキが現在の境内の地割に沿って生育していることから、青蓮院が現地へ移転した13世紀以降に植栽されたものと考えられる。
樹勢が旺盛で、樹形も優れているだけでなく、円山公園から平安神宮に続く神宮道の中で、青蓮院を含む地域の景観要素となっている大木として貴重なものである。』
出典:【青蓮院のクスノキの駒札】より
駒札によれば、
『三千院、妙法院と並ぶ天台宗三門跡の一つで、天明の京都大火(1778)にさいし後桜町上皇の仮御所となったことから、粟田御所とも呼ばれる。
最澄(伝教大師)が比叡山に、僧侶の住居として建てた一つ「青蓮坊」が起こりで、平安時代末期の12代行玄(天台座主)のときに三条白川(現在地のやや北西)に移り、鳥羽法皇の第七皇子、覚快法親王が行玄の弟子として入寺して以来、皇族や摂関家の子弟が門主(住職)を務める「門跡寺院」となった。
歴代門主のうち、三代の慈円は歴史書「愚管抄」の著者として有名で、17代尊円入道親王は和風と唐風を融合した青蓮院流(のちの御家流)と呼ばれる書風で知られる名筆家であった。
境内全域が国の史跡に指定されており、粟田山の山裾を利用した庭園は、竜心池を中心とした優美な池泉回遊庭園で、主庭は相阿弥の、霧島の庭は小堀遠州作と伝えられている。
また神宮道沿いの門前には、この寺で出家した親鸞上人のお手植えと伝わる巨木な五本の楠(京都市登録天然記念物)がある。
寺宝として、青黒く画かれていることから「青不動」の名で知られる「不動明王二童子画像(国宝)」をはじめ、多数の文化財を蔵する。円山公園東の山頂に、飛び地の境内である将軍塚大日堂を有し、そこからの京都市街の眺めは格別である。』
出典:【青蓮院の駒札】より
青蓮院(京都市東山区粟田口三条坊町69-1 )
京都駅から
▼「A1」乗り場から5系統または「D2」乗り場から86系統で『神宮道』下車(所要27分)
「神宮道」から、徒歩5分
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