方広寺は、豊臣秀吉が奈良の大仏に倣い京の地に大仏をと、天正14年(1586)に造営が始まり、文禄4年(1595)に完成したのだが、翌、慶長元年(1596)に地震によって倒壊してしまい、大仏のないままに秀吉の死後、慶長3年(1598)に開眼供養が行なわれている。
その後、大仏殿は焼失してしまうのだが、豊臣秀頼により、慶長13年(1608)に再興が始まり、慶長17年(1612)に完成する。
それに併せて、方広寺の梵鐘も造られるのだが、この鐘の銘文を巡って徳川と豊臣の間に鐘銘事件が起こり、大阪冬の陣へと進み、豊臣家滅亡の一因となる。
この鐘には淀君の怨みがのり移っており、鐘の内側に淀君の幽霊がでるという言い伝えがあり、この鐘を修学旅行の生徒達であろうか鐘楼の中に入って鐘を見上げていたのだが、鐘の内側に淀君の幽霊は見えたのであろうか。
方広寺の梵鐘は、三条釜座の名古屋三昌により鋳造され、高さ4.2m、外形2.8m、厚さ0.27m、重さ82.7トンで、東大寺、知恩院の鐘とともに日本三大名鐘と言われる。
秀吉が京に大仏をと計画した方広寺の造営を、豊臣秀頼がその意志を継ぎ再興するのだが、それに併せて、この梵鐘も造られるが、この鐘の銘文を巡って徳川と豊臣の間に鐘銘事件が起こり、大阪冬の陣の発端となる。
慶長14年(1609)から再建を始めた大仏が慶長19年(1614)に完成し、それに合わせて4月に梵鐘が完成し、片桐且元の依頼で、梵鐘の銘文を南禅寺の文英清韓(ぶんえいせいかん)が起草するのだが、その鐘の銘文のなかに徳川を呪う不吉な文言があるとして、家康は大仏供養を延期してしまうのである。
その文言がかの有名な「国家安康・君臣豊楽(こっかあんこう・くんしんほうらく)」という8文字である。
家康という文字を分断し豊臣家の繁栄をねがい、徳川に対して呪いが込められているとして、豊臣方に対し言い掛かりをつけたのである。
これに対して豊臣方は片桐且元や文英清韓を駿府に向かわせ、「国家安康」とは家康の諱(その人の名・ここでは家康)を、「かくし題」(ある言葉・ここでは家康を表に出さず句のなかに読み込む手法)としたもので大意はないと弁明に努めるのだが、そもそもが言い掛かりであり何を言っても聞く耳持たずで、大阪冬の陣が始まり続いて夏の陣へと、豊臣滅亡のシナリオへと進んでいくのであるのだが、その発端となった鐘がこの梵鐘である。
いつからか、鐘の内側に白い影が浮かぶといわれ、無念のうちに逝った淀君の怨念だと言われるようになるのである。
方広寺(京都市東山区茶屋町527-2)
京都駅から
▼「D2」乗り場から86・88・206・208系統で『博物館三十三間堂前』下車(所要9分)
「博物館三十三間堂前」から、大和大路通を北に徒歩7分
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