近鉄「桃山」で電車を降り、撞木町の遊郭跡から、師団街道を北に歩くと伏見税務署が見えてくると、そのすぐ横に欣浄寺の案内が見え、ここを右に入ると「欣浄寺(ごんじょうじ)」である。
ここは小野小町に思いを寄せた、深草少将の屋敷があった所でもある。
欣浄寺の駒札によると、
『清凉山と号する曹洞宗の寺院である。はじめは、極楽寺廃墟(現、宝塔寺辺り)の安養院といい、1573年~92年(天正年間)に欣浄寺として、現在の地に移ったと伝えられている。
寺伝によれば寛喜2年(1230)から天福元年(1233)まで、曹洞宗開祖の道元禅師がこの地で布教し、当寺を創建したといわれている。
当初、真言宗であったが応仁の乱(1467)後、曹洞宗となり、天正・文禄(1573~92)の頃、僧告厭(こくえん)が中興し浄土宗に改められ、さらに文化年間(1804~18)にもとの曹洞宗に改宗した。
本堂には俗に「伏見の大仏」と呼ばれる丈六の毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)をはじめ、阿弥陀如来像、道元禅師石像などを安置している。
欣浄寺は、道元禅師が布教の地として創建されたことから、曹洞宗では、ここを「深草閑居の史跡」として大切に敬われている。』
出典:【欣浄寺の駒札】より
また当地は昔深草少将の屋敷があったところと伝えられ、ここから山科の小野小町のもとへ百夜通ったという伝説は有名である。
池の東の薮陰の道は「少将の通い道」と呼ばれ、訴訟のある者はこの道を通ると願いが叶わないといわれている。
境内、「小町姿見の池」のほとりには、少将と小町供養塔があり、其の前には「墨染井」と呼ばれる深草少将遺愛の井戸がある。
また「昭宣公塔」と称する五輪塔や、道元禅師の詩碑なども残されている。
二軒茶屋でひと休みし、鞍馬街道を北に10数分歩くと、街道は篠坂峠へと差し掛かる。
篠坂峠の両側には、大念寺・小町寺・恵光寺・静林寺と寺が並ぶ。
この地はもともと葬送の地であり、小町寺はその墓守の寺であったという。
小町寺とは通称で、正しくは、如意山補陀洛寺という、天台宗の寺で、天徳3年(959)に清原深養(ふかや:清少納言の曽祖父)が静原に建立したのが始まりで、長く廃寺となっていたものを、墓守のために、この地に再建されたものである。
小町寺の名は、謡曲「通小町」のなかで、小町の亡霊に「己が名を、己とは言はじ、すすき生ひたる、市原野に住む姥ぞ」と謡わせて以来、この寺は小町寺と呼ばれるようになったという。
本堂は平成11年に再建されたものだが、平安末期に造られた本尊の「阿弥陀如来」が安置され、その横に絶世の美女と言われた小野小町の、年老いて痩せ衰えた「小町老衰像」が供にある。
境内の本堂横に、小町姿見の井戸がある。今は枯れているのだが、小町がその水に姿を写して、その衰えゆく姿を見て何を思ったのであろうか。
姿見の井戸はまた、山科の随心院にもあり、小町は井戸に姿を写して化粧をしたという。
井戸に写る姿を見て、かの
「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」という歌を詠んだのであろうか。
補陀洛寺駒札によれば、
『小町寺とは俗称で如意山補陀洛寺(ふだらくじ)という。
遠く陸奥路まで漂泊の身を運んだ一世の美人小野小町も、年老いて容色も衰えた身を、ここ市原野に、昔、父が住んでいたなつかしさから、荒れ果てた生家を訪れ、そこで朽木の倒れるように、あえなくなるが、葬う人とてもなく、風雨に晒され小町の髑髏から生い育った一本の芒(すすき)が風にふるえていた。
この伝話に因んで穴目のススキ、老衰した小町像や、少将の通魂塚が作られている。』
出典:【小町寺の駒札】より
ここに供養されていいのか、深草少将の石碑が建つ。
小野小町が私の元へ百夜通い続けたら想いをとげさせようと言い、深草少将が京都伏見の深草の欣浄寺から、毎夜毎夜、山科の随心院に住む、小野小町を想い通いつめて、あと一夜で百日目という時に、雪に埋もれて亡くなってしまうのである。
小町に因む謡曲に「通小町」と「卒都婆小町」がある。
「通小町」とは市原野で小町の亡霊に会った僧が受戒を頼まれるが、そこに深草少将が現れ受戒を妨げようとする。
僧は百夜通いの様子を小町と少将とに語らせ、それを再現してゆくのだが、百日目の満願成就に、二人は契りの盃を交わそうとするが、仏の戒めにより酒を酌み交わすことは出来ず、そのことで二人は悟りを開き救われるというものである。
また「卒塔婆小町」とは、卒塔婆に腰掛ている老婆を、高野山の僧が見咎めそれを諭すのだが逆に論じ込められてしまい、その名を聞くと小野小町だという。
その出自を語るのだが、自分を慕い九十九日目で亡くなった深草少将の霊に取り憑つかれているのだという。ような話立てである。
いずれも小町の美貌に因んだ何ともいえないせつない話である。
欣浄寺(京都市伏見区西桝屋町1038)
京都駅から
▼JR奈良線で『東福寺』下車(所要2分)、京阪電車本線で『墨染』下車(所要11分)
「墨染」から、徒歩2分
小町寺(補陀洛寺:京都市左京区静市市原町1140
京都駅から
その1・・・JR奈良線で「東福寺」(所要2分)/東福寺から京阪電車で「出町柳」(所要19分)/出町柳から叡山電鉄で「市原」(所要22分)下車、
「市原」から、徒歩10分
その2・・・「A2」乗り場から4・7系統で『出町柳』(所要23~28分)/出町柳から叡山電鉄で「市原」(所要22分)下車
「市原」から、徒歩10分
その3・・・地下鉄烏丸線で『国際会館』(所要20分)/国際会館前から京都バスで『小町寺』(所要10分)下車
「小町寺」からすぐ





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