東大路二条の角に、日蓮宗の妙傳寺がある。
「日蓮上人御分骨の道場」とあり、山梨の身延山への参拝が大変な関西以西の信者の為に、日蓮の真骨を安置し建立されたもので、「西の身延」とも「関西身延」とも呼ばれている。
東大路二条ですぐ目に付くのが、ここが妙傳寺だと分かるこの銅像、日蓮上人が経典を持っている姿である。
日蓮は鎌倉時代に日蓮宗を開いた僧であり、元が日本を攻めた二度の元寇では、二度とも神のご加護を祈り、神風を吹かして元の船をことごとく海の藻屑としてしまったという逸話が残っているのだが・・・。
日蓮さんは立正安国論を表わし、南無妙方蓮華経と唱えることにより、唯一日本の国は救われ一途に念仏を唱えよと説く。
南無妙方蓮華経とは、南無はnamoで「わたしは帰依します」との意味で、妙方蓮華経は法華経の題目で、法蓮華経に帰依しますと唱えるのである。
日蓮は承久の乱の1年後、承久4年(1222)に、安房国(千葉県)に生まれる。
12才で安房の天台宗寺院・清澄寺に入り、16才で得度・出家をする。
その後、比叡山延暦寺などで10年余学び、32才で「南無妙法蓮華教」の教えを広めることを始める。
一旦、清澄寺に戻るが、建長5年(1253)、鎌倉に移ることになる。この頃「日蓮」と名乗りだしている。
そして文応元年(1260)に「立正安国論」を、鎌倉幕府5代執権・北条時頼に進言をするのである。
この中で、法然の専修念仏(南無阿弥陀仏を唱えることで救われる)を批判したことで、念仏衆徒から反発されことになる。
「立正安国論」は鎌倉幕府からは無視をされ、弘長元年(1261)から、同3年(1263)まで、伊豆に流されている。
文永5年(1268)、元寇の初端ともいうべき元(蒙古)から国書が届くのである。
日蓮は、これは「立正安国論」で説いた外国侵略の前兆だと主張するが、鎌倉幕府は取り合わず、日蓮をはじめとする教団を危険分子とし、文永8年(1271)に、日蓮を佐渡に配流するのである。
文永11年(1274)に、8代執権・北条時宗が日蓮を赦免し、日蓮は鎌倉に戻るのである。
鎌倉に1ケ月ほど居て、甲斐国身延(山梨県)に入る。
そして、文永11年(1274)、元(蒙古)が3万余の軍勢をもって対馬と壱岐に上陸し、さらに博多に攻め込んだ「文永の役」が起きる。
1週間ほどで終わるが、日蓮はこれに対し「撰時抄」を著している。
ここでも、禅・念仏・真言に対し、日蓮宗の「南無妙法蓮華経」のみが、従来の仏教を卓越したものだと説いている。
弘安2年(1278)再び元(蒙古)が襲来する。
この時も台風により元(蒙古)軍は壊滅する。
日蓮はこの頃には病がちとなり、弘安5年(1282)、60才で入滅をする。
参照:【日蓮-Wikipedia】より
「南無妙法蓮華経」を唱えることで、他の宗教と融合することなく、その教えを貫いた人物だったようである。
妙傳寺は、文明9年(1477)に日意上人によって開基されたもので、日蓮宗の総本山であり、京都八本山の一つでもある。
はじめ一条尻切屋町に建立され、身延より日蓮聖人の骨と、同時に身延七面山の七面天女を安置し、京より西の日蓮宗徒の参拝を容易ににしようとしたものである。
しかし寺は、天文5年(1536)の天文法難により灰燼に帰し、再建されるものの再び、宝永の大火(1708)によって焼失してしまう。
その後、現在のこの地に再興をされ、以来、身延山の直系として今に至っているのである。
妙傳寺は歌舞伎役者の片岡仁左衛門家の菩提寺であり、家紋の定紋七ツ割り丸に二引をかかげた石塔が建っている。
片岡仁左衛門は、現在15代を数える歌舞伎の名門名跡であり、初代は江戸時代の延宝年間(徳川4代家綱、5代綱吉の頃)に活躍をした。
代々片岡家の継続で世襲され、歌舞伎界の常で名前を変えながら仁左衛門を継いでいる。
15代目は、片岡孝夫から仁左衛門を名乗っている。
ここはまた学養寺という寺があった所である。
この寺は洛中法華21本山の一つで、天文法華の乱で焼かれて、その後再建されなかった寺である。
天文法華の乱とは、当時、京の町は日蓮宗が町衆に信仰され大きな勢力を占めるようになっていた。この驕りもあって、一向宗の京都入山を聞き、山科の本願寺を襲い、ここを焼討ちし灰燼と帰するのである。
しかしその後、比叡山との確執が起こり比叡山側が近江の六角家を味方につけ、一機に京の日蓮宗寺院を襲うのである。21の本山は悉く焼き払われてしまうのである。
その後、京都では日蓮宗は追放されるのだが、6年後に京都に帰る勅許が降りるのだが、21山のうち15山が再建されるのだが、安養寺は再び再建されることはなかったのである。
妙傳寺(京都市左京区東大路二条下ル北門前481)
京都駅から、
▼D2乗り場から206系統で『東山二条・岡崎公園口』下車(所要27分)
「東山二条・岡崎公園口」からすぐ
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