六道珍皇寺には冥界に通じる井戸があり、小野篁(おののたかむら)が毎夜々々この井戸を通り、地獄の閻魔大王のもとに通っていたという。
六道珍皇寺のこの井戸は、この世とあの世を結ぶ入口で、小野篁は母に会いたいがため、ここから地獄へと行き、そこで苦しむ母を救わんと、閻魔大王に談判したのをきっかけに、閻魔大王に気に入られ、閻魔大王の補佐をすることになったという。
源氏物語が愛欲にまみれたもので、それを書いた紫式部が地獄に落とされた時に、篁はこれを擁護し、紫式部の地獄行きをなくしたとか、また右大臣の藤原良相(よしすけ)が、地獄に落とされた時に、この世で恩義を受けた篁は閻魔大王に、良相のことを良く伝え生き返らせたとかという話がある。
小野篁はその昔、宮中に仕える官吏の人であったが、この六道珍皇寺の冥界に続く井戸から夜毎、高野槙の枝を掴んで井戸を下り、冥府で閻魔大王に仕えていたとも、また亡き母に会っていたとも云われている。
その井戸は、今は開かずの井戸として冥界の入口は封鎖されているのであるが、今後また誰かがこの井戸を通り冥界と行き来するのであろうか。


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