京阪電車の八幡市駅から東に、歩いて10分ほどの所にあるのが「単伝庵」で、山号を直指山という。

01単伝庵mid
臨済宗妙心寺派の寺院で、本尊は観世音菩薩である。創建は不明であるが、江戸時代に単伝和尚が再興したという。
男山と木津川の間にあり、一見、何もない寺のよだが「らくがき寺」とも呼ばれている。
昭和32年(1957)に大黒堂が建立されるが、それに帰依した人々が念願成就を祈願して、大黒堂の内壁に願い事を書いたのが始まりといい、いつしか「らくがき寺」と呼ばれるようになった。
大黒堂に祀られている「走り大黒天」は、楠木正成が武運長久を祈り、石清水八幡宮のクスノキから彫り起こしたものだという。
壁一面にびっしりと書き込まれた願い事は、お経のようにも見え、単なる落書きではなく、そこには素直な思いを込めて仏にすがる願い事が書かれているのである。
年の瀬には願い事の功徳と共に、壁が新しく塗り替えられて新しい年を迎え、再び大黒堂の内壁に願い事を書き、それを叶えてもらうのである。

らくがき寺(単伝庵)
京都府八幡市八幡吉野垣内33
京都駅から、
JR奈良線「東福寺」乗換、京阪電車本線「石清水八幡」下車、徒歩10分