京の町には「本日あります」という札が掲げられた所がある。
いったい何があるのか、そこはどんな所なのだろうかと疑問が湧くのだが・・・
何があるのかというと、その札は銭湯に掲げられたものであり、本日は営業することを知らせる看板なのである。
最近は暖簾を出すだけの銭湯も多くなったのだが、その謂れは風呂を沸かす燃料が不足して、不定期にしか風呂を沸かすことが出来ず、風呂を沸かせて営業出来る時に「本日あります」との札を掲げたのが始まりだという。
最近、町の銭湯は随分と少なくなり、スーパー銭湯とか大型の入浴施設しかなくなってしまい、何年か前に給湯器が壊れて風呂に入れなくなった時には、家の近くに銭湯はなく、車で30分ほどのスーパー銭湯に行くしかなかったので、鍋でお湯を沸かし風呂を溜めて入ったことを思い出したのである。
風呂にまつわる話でもうひとつ・・・
五右衛門風呂という風呂があった。
これは風呂釜が鋳鉄で出来ていて、直火で直接釜を温めるというものである。
勿論そのまま入ると火傷をするので、木製の「すのこ」を沈め、その上に乗って風呂に入るというものである。
子供の頃に親戚の家に五右衛門風呂があり、すのこの板を上手く沈めることが出来なくて、入るのに九郎したことを思い出した。
底は直火なので熱いのだが、まわりは下から上にかけて、音頭が低くなっているので、触っても火傷することはないのだが、出来るだけ触れないように入ったものであった。
因みに、この名は「浜の真砂は つきるとも 世に盗人の 種はつきまじ」と辞世の句を詠んだ、石川五右衛門の釜茹での釜にちなんで名付けられたのだという。
コメント